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【スマホ版】三國志漢末覇業 レビュー

三国志漢末覇業とは

三国志漢末覇業は、龍遊天下スタジオという中国のゲーム会社によって製作されたゲームです。

国内で主流の三國志シリーズは「ビジュアル」や「演出」を重視しているのに対し、この三国志漢末覇業はシミュレーションゲームならではの「ゲーム性」を重視した作品となっているのが特徴です。

細分化されたステータスやあらゆる内政要素に対して委任制度があるため、本格的な戦略級シミュレーションという形を持ちながらもプレイヤーの負担を限りなく減らすことができており、内政のための単純作業に時間を取られるということはありません。

本作のコンセプトは「中国人の三国ゲームへの新しい理解、新角度をもって、革新的な三国シリーズゲームの世界を作り上げ」ることだそうです。

本作の特徴(評価点)

細分化されたステータス

本作における最も大きい特色として、「1000人もの武将に割り振られた詳細なステータス」が挙げられます。

能力38か所、特技(戦法・計略・特技)20個に加え、特性というリワードを達成するごとに得られる能力が各武将ごとに設定されています。

日本の三國志作品においてステータスの項目はせいぜい6か所程度であり、それに個性付けとして数十種の中から戦技や才能が割り振られている中、本作における個性付けはそれよりも遥かに細分化されているのが特徴です。

これは三國志11にも見られた「能力の低い武将に役目を与える」ことにも一躍買っており、適材適所での運用を可能にしています。

様々な委任システム

従来型の三國志作品に限らず、全てのシミュレーションゲームにはAIの問題から、あらゆる行動や単純作業を全てプレイヤーがこなさなければいけないということが多々あり、それは同時にゲームを飽きさせる要因にもなっていました。

三國志漢末覇業では農業や商業、治水などの基本的な「内政の設定」、在野武将獲得のための「人材捜索」、敵国の情報を見るための偵察、各勢力ごとの有意性や個性を持たせるための研究である「技術開発」など、ゲーム後半の勢力が拡大した状態では億劫になるであろう大方の煩雑な作業を全て委任できる機能が搭載されています。

最初こそ委任のシステムを理解するのに時間はかかりますが、慣れてしまえば手動で行うよりも遥かに楽に処理をすることが可能です。

大量の武将の存在

過去の光栄三國志では、末期武将の不足からゲームとしてはおかしな戦略や戦法がとられていました。

現在発売されている三國志14でこそ達成された「登場武将数1000人」という壁を本作はいち早く達成しており、当然三国時代末期であっても武将不足に陥ることはそうそうあり得ません。

問題点

「演出」の乏しさ

KOEIの三國志とは別に堅実的な「戦略的ゲーム性」を重視した本作ですが、国内の三國志作品に慣れたプレイヤーからすると、その演出面での派手さであったり華やかさというものに少々欠けているとも思えてしまいます。

本作は本家大本であるsteam版でも未だβ版としてリリースされており、2019年9月のアップデートでUIがスマホ版に最適化されたものの、依然として日本語が不十分な点、史実イベントなどの「演出」に乏しい点があります。

現状、演出に乏しい三国志ということで、三国志作品を純粋に戦略級シミュレーションゲームとして楽しみたいという方にとってはむしろ好都合ともいえるでしょうか。

ビジュアル面を推した作品ではない

これは本作の特色でもあり弱点でもある要素なのですが、上記のようにとにかくグラフィックデザイン、演出面で華やかさに欠けてしまうということです。

筆者自身も最近の三國志作品における「堅実な作り」への配慮の無さに思うところがあったため、本作の戦略級SLG然とした要素はとても刺激になると思っていました。

ですが、同時に「演出面」として飽きさせない要素も必要である、と感じたのも本作によって気づかされたことであります。

本作はあくまで「本格シミュレーション作品」としての三国志であると感じました。

おわりに

三國志漢末覇業は、三国志を題材とした本格的なシミュレーション作品としては最も適した作品であると感じています。

そして、そうした要素は同時に人を選ぶことも確かであり、ロールプレイ等イメージを膨らめたプレイを好むプレイヤーにとってはすこぶる相性の悪い作風でもあると感じました。

光栄、コーエーのシリーズ作品の長所のみを抽出し、過度な演出を取り除いた硬派な三國志作品である、というのが最も適した答えでしょう。